「道の駅田野、移転するらしいよ」

その話を聞いたとき、新しい場所のことを想像するより先に、私はふと思ったんです。そもそも、なんで移すことになったんだろう、って。

長く親しまれてきた場所です。ずっとあそこにあった。それを動かすには、きっと動かすだけの理由があったはずで。調べてみたら、大きく分けて二つ——高速道路が通って車が来なくなったこと、それと施設そのものが古くなってきたこと。この二つでした。順に書いていきます。

1998年にできた、ちょっと小さめの道の駅

いまの道の駅田野は、宮崎市田野町甲7885-164にあります。1998年に認定された道の駅で、県道28号沿い、宮崎自動車道の田野ICから南へ3キロくらいのところ。

敷地は5,960平方メートル、駐車場は47台。県内の道の駅のなかでも、わりと小さめの部類なんだそうです。

高速道路が通ったら、前の道の車が8割減った

移転をいちばん強く後押ししたのは、これだと思います。目の前の道を通る車が、ごそっと減ってしまったこと。

2023年3月に、東九州自動車道の清武南IC〜日南北郷IC間が開通しました。それまで宮崎市と日南のほうを行き来するのに使われていた主要ルートが、県道28号だったんですね。ところが高速が通ったことで、みんなそっちを走るようになる。

宮崎市の資料によると、県道28号の交通量は、令和3年度と比べて約8割減(令和5年9月の時点)。8割です。幹線としての役目を高速に譲った、と書けば聞こえはいいんですけど、要するに道の駅の前を通る車そのものが、ほとんどいなくなってしまった。

物販の売上は7割減、2025年3月末で店じまい

車が減れば、当然、売上に響きます。

物販の売上は、令和3年度と比べて令和6年度に約7割減。ここまで来ると、施設としてやっていくのはさすがに厳しい。そういう流れで、物販と飲食は2025年3月末までに閉じられました。

いまの道の駅田野に残っているのは、24時間使える駐車場とトイレだけ。前を通ったことのある人なら、あの静けさ、なんとなくわかってもらえるかもしれません。

水まわりも、そろそろ限界だったみたいで

交通量の話に、もうひとつ重なったのが、施設の老朽化です。

給水設備が古くなっていること。それに加えて、水源にしている湧水が、枯れてしまう恐れも指摘されているそうで。これはちょっと、私も調べていてへえと思いました。水が出なくなるかもしれない、というのは、営業を続けるにはなかなか重い話です。

いまの場所で設備を入れ替えて続けるより、条件のいい場所へ移して、いちから整えなおすほうがいい。たぶんそういう判断だったんだろうと思います。断定はできないんですけど、資料を読むかぎり、筋は通っているなと。

「たたむ」んじゃなくて「移す」を選んだ

理由がこれだけ重なると、道はだいたい二つでした。施設を縮小して、あるいはやめてしまうか。それとも、場所を移してもう一度つくり直すか。

宮崎市が選んだのは、後のほう。交通量の多い国道269号沿いへ、移すという道でした。日本一の干し大根で知られる、農業のまちの拠点です。それをたたむんじゃなくて、次につなぐ。私はこの選び方、けっこう好きです。

移転先がどこなのか、新しい施設はどんなふうになるのか。そのあたりは、また別の記事で書きます。